碧空1740 nautilus83(場所の崩壊、擬似瞬間移動)
1740 nautilus83(場所の崩壊、擬似瞬間移動)
後れて来るはずなのに早く来過ぎたヨハネが前触れていたMessiah の顕在化は、その何かばかでかい臨在が霊的でなくなる痛恨のエラーである。
それとは逆に、双子のヨハンとアンナがヨハンとアンナとなって呼び出される前に彷徨い出たチェコの国境はこの世の景色ではなく、その彷徨は寸毫も先へ突き進めない金縛り状態に見える。世界が終わっているからである。この絶景は、この世の景色ではないのにこの世の景色になりたがっている振動、場所の崩壊である。
ヨハンが痕跡を消去するかのように痕跡を辿って遡上するのは、ヨハンと呼ばれたいからではなく、精神分析されたがっているのでもなく、雌雄異体の気配ではない絶景に被曝して、ヨハンは、アンナになりたがっている!
それは、もう一人のヨハンが起こる!のである。自食の種族であるヨハンをアンナが呑み下す、銃撃の瞬間、アンナが残る!というより、ヨハンはアンナになる!アンナを忘れないように(従って忘れないかのように)アンナになる!瓜二つの(しかも雌雄異体の気配の)ヨハンとアンナの分割は、問としての「私」と解としての「私」の解離のイラスト、あるいは暗喩である。
鼠に化けた魔法使いを長靴を穿いた猫が呑み下すのは、魔法使いが長靴を穿いた猫を忘れないように、命令としての魔法使いが長靴を穿いた猫となって(演奏の如く)成就するunlearn (次元跳躍)である。
ところで、アンナがヨハンの額を撃ち抜いたのはヨハンを救済するためであるから、Drテンマはアンナの器官の延長としてヨハンを蘇らせるのである。それは、ヨハンの額を撃ち抜いた記憶が匿名で感染して、しかもヨハンの額を撃ち抜く予期に変容するのである。つまり、この分業は空回りする。Drテンマはアンナの器官の延長ではないように回避し、アンナはDrテンマがアンナの器官の延長にならないように回避する、その熱い回避の間をヨハンはゴーストのように通り抜けてしまうのである。この熱い回避の間は、チェコの国境に起こった場所の崩壊ではないが、擬似瞬間移動である。
痕跡を辿って遡上するヨハンが、いよいよプラハに姿を現わすためにアンナに変装するのは、この擬似瞬間移動を演奏する如くである。つまり、場所の崩壊を真似てゴーストのように通り抜けられないかという試みである。それは、チェコの国境に起こった場所の崩壊がプラハにも潜んでいそうな前触れである。(「nautilus79、80、81、82」)


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