Monday, June 01, 2020

碧空1756 nautilus99(移住の衝撃)

1756 nautilus99(移住の衝撃)  命令としての「私」を忘れないように忘れる(霊的でなくなる)「私」の、その奇怪な自覚の葛藤の大団円は痴呆である。  鴎外が例えば澁江抽斎を追跡した伝記が抽斎の「私」の死を以て終わるのではなく、子孫に入れ替わって「私」が認知されない夢のような表出で終わるように、物語は、「何事もなかったかのようにまた一日が始まった」(F.Kafka )というように途中で我に返るような、「それはアンスル・ボルンという30歳の巡回牧師で、ある日(1887年1月17日)彼は銀行から551ドルの預金をおろし、突然グリーンから失踪、2ヶ月の間行方不明であった。この間彼はA.J.Brownと名乗ってペンシルベニアのノーリスタウンで小さな雑貨店を切りまわし、仕入れ万端を立派にやっていた。しかもこうした仕事はそれまでに一度もやったことがなかった。1887年3月14日、彼は突然覚醒して家に戻ったが、その間のことは完全に忘れていた」というように途中で連れ戻されるような、twice-toldの結びになる。  それは、「私」が初めてであるかのように始まる亡命の、移住の衝撃である。

0 Comments:

Post a Comment

<< Home