碧空1884 nautilus227(見てはならない「私」を見てしまう)
1884 nautilus227(見てはならない「私」を見てしまう)
コロンビア、バランキージャ、病室でヘスス・ビジャレアルは、遥か、天文学的距離とはいわぬまでもはるか1078哩先のマイアミから無毛の、まらが眼鏡を掛けたような臓器密輸商ハンス・ペーター・シュナイダーからの着信に即時応答する。カリの携帯に、首と指を切断されたアントニオの携帯から着信がある。これはそんなに遠隔ではない。ついさっきまで手の届く範囲だったのだ。一方は、隔てるのは距離だが、もう一方は、姿を晦まし、追い詰められまいとする逃走技術の壁だ。(「Cari Mora」Thomas Harris)
どちらも器官を延長して接続し、媒体を以て償うようにコピーするのであるが、この擬似贖罪を包む遠近法がいきなり崩壊して大気がいきなり魘される。あの、奇妙な時間差のような、地滑りが起きているような「ちょうどその頃」は、接続ではなく断絶、見てはならない「私」を見てしまう。
それは「私」の孤絶ではなく、「私」の秘密を見てしまうのではなく、「私」が他の誰かであるような反直観的な秘密を見てしまって、狼狽から、「私」が他の誰かと間違えられて追跡されているかのように(しかし追跡の気配を呼吸するうちに本当に他の誰かに(従って「私」に)なっていくとでもいうように)魘されるのである。


0 Comments:
Post a Comment
<< Home