Wednesday, November 18, 2020

碧空1926 nautilus269(脅かすようでいて守護する!)

1926 nautilus269(脅かすようでいて守護する!)  「青年」(鴎外)は、彷徨い込んだ箱根で致命的な遠方に出てしまう。坂井夫人が、余計ナ!大村画伯と連れ立っている思いがけない(陰謀の)景色を見て地獄へ流されるのである。  「私」は誘惑されていたはずであるから、「私」に出て来る幽霊のように坂井夫人は「私」を探しているはずなのに探していたようではなく、何カ寂シイとか不思議ナ悲シミガシタとかいうのは、それが嫉妬であることを白状したくない、というよりそう見極めて自白するには「私」が衰弱して脅かされているのである。この、自由、孤独、思考の衰弱が、陰謀の気配であるが、しかしそれは、「私」を脅かすようでいて守護する!のでもある。  隠沼や敷浪が打ち寄せる浜辺に出て、それが変に光り出していて本当の持ち主の接近を告げているのに、「私」は本当の持ち主ではない。思いがけない嫉妬とは、こうした、問が解けたことにならない(脅かすようでいて守護する!)気配である。

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