Wednesday, December 16, 2020

碧空1853 nautilus295(俗説の霊感)

1853 nautilus295(俗説の霊感)  俗説の形式は世や民族で変りはしない。霊感を得て突然異語を話し出して音声器官が光り出すようなものだ。モーゼの顔が光ったというのも、律法の本当の持ち主は世俗なのである。  「それはアンスル・ボルンという30歳の巡回牧師で、ある日(1887年1月17日)彼は銀行から551ドルの預金をおろし、突然グリーンから失踪、2ヶ月の間行方不明であった。この間彼はA.J.Brownと名乗ってペンシルベニアのノーリスタウンで小さな雑貨店を切りまわし、仕入れ万端を立派にやっていた。しかもこうした仕事はそれまでに一度もやったことがなかった。1887年3月14日、彼は突然覚醒して家に戻ったが、その間のことは完全に忘れていた」  この、巡回牧師アンスル・ボルンが霊感を得て突然A.J.Brown となって別の土地で未知の雑貨商を切り回すfugue(夢中遊行的失踪)も、「私」の衰弱したアンスル・ボルンからA.J.brown が脱け出してdoppelgaenger の如くであるが、この俗説は、引き留めてもどうにもならない死を償うようにコピーするのであるし、和解も出来ないし逃げ出すことも出来ない(薄気味悪く迫る)鸚鵡貝の目を何度ものぞきに戻らずにはいないのである。

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