Wednesday, December 23, 2020

碧空1860 nautilus302(光り出す危機)

1860 nautilus302(光り出す危機)  1764,4.3、フランクフルト、8月で15才になろうとしていたゲーテは、乾燥の危機に諸方から続々と集結したアメーバが一体の生き物となってのたうって移動を開始するような、戴冠式の日の、群衆の殺到と熱狂、一つの意志、一つの生き物、一つの聖なる塊に見える市参事会委員、僧職の選帝侯、黒衣の陪審員、皇帝と国王、使節、それから世襲式部長官、世襲内膳頭、世襲献酌侍従、世襲大蔵頭といった世襲官の行列を、というより何か危険な恐ろしいことを、漠として鳥瞰、目撃する。  その、目撃はするが見えていないものは、カール大帝の亡霊が歩むような、個が個ではなく、部分に全体が出現するような、戴冠式の前後の、威儀というものの根拠のなさに触れまいとして果てしもなく続く儀式が、そのようにして更新しようとしている威儀の危機である。  戴冠式の日の、たしかに見たはずであるが見ていない細部に異常接近して、光り出したのは危機、今を主張しているがとっくに終わっている幽霊船の如きものの臨在なのである。

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