碧空1944 nautilus386(「甘酸っぱい顔」の上辺の、暗い顔)
1944 nautilus386(「甘酸っぱい顔」の上辺の、暗い顔)
西南の役で、政府軍の手足ながらも会津藩を出自とする兵の気構えには薩摩に対する怨念が渦巻いていたというのは通説であるが、長岡藩を出自としながら後れて来た山本五十六の精神の無意識にも、皇国に優越して郷里長岡への誠がいつも不穏な刃を隠していて、皇国に対する忠誠に矛盾しないように飽くまでも反戦を主張するかに見えて反逆することが、あの、山本五十六の精神を強迫的に体現する急襲、皇国を必ずや滅ぼすことになるはずの開戦を指揮して導くことではなかったのか。
そうだとすれば、日本が太刀打ちできない欧米の生産能力に精通した海軍の良識として、皇国が必滅することになるはずの開戦を指揮する、その苦悩の、暗い顔は、「甘酸っぱい顔」の変装ということになる。しかしこれは、擬態だろうか。この「甘酸っぱい顔」は、その、暗い顔をした仮面を鏡に映して見たこともないのではなく、隠密に知っていそうなのだから。
山本五十六的なものは、この、顔の三重の位格である。


0 Comments:
Post a Comment
<< Home