碧空1902 nautilus443(反省の変脱、独白的対話)
1902 nautilus443(反省の変脱、独白的対話)
「それはアンスル・ボルンという30歳の巡回牧師で、ある日(1887年1月17日)彼は銀行から551ドルの預金をおろし、突然グリーンから失踪、2ヶ月の間行方不明であった。この間彼はA.J.Brownと名乗ってペンシルベニアのノーリスタウンで小さな雑貨店を切りまわし、仕入れ万端を立派にやっていた。しかもこうした仕事はそれまでに一度もやったことがなかった。1887年3月14日、彼は突然覚醒して家に戻ったが、その間のことは完全に忘れていた」
このfugue (夢中遊行的失踪)は、失われたはずの一人称の記憶が三人称の記憶となってプラナリアの如く再生するplotの告白の展開を複写する物語ノ物語であるだけでなく、見られないはずの「私」にひどく似ていると暗示がかかっているがまるで違う鏡像を広角レンズが映し出して、反省する。しかも、ゲーテのように、アンスル・ボルンの独白は、どんなに身近でも「私」は見えないために反転的に目の前のペルソナか遠いペルソナとなって姿を現わす鏡像との対話に変脱するのである。


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