碧空1905 nautilus446(躁状態の半鏡像)
1905 nautilus446(躁状態の半鏡像)
「それはアンスル・ボルンという30歳の巡回牧師で、ある日(1887年1月17日)彼は銀行から551ドルの預金をおろし、突然グリーンから失踪、2ヶ月の間行方不明であった。この間彼はA.J.Brownと名乗ってペンシルベニアのノーリスタウンで小さな雑貨店を切りまわし、仕入れ万端を立派にやっていた。しかもこうした仕事はそれまでに一度もやったことがなかった。1887年3月14日、彼は突然覚醒して家に戻ったが、その間のことは完全に忘れていた」
失われたはずの一人称の記憶が三人称の記憶となってプラナリアの如く再生する物語のplotの展開は、見られないはずの「私」にひどく似ていると暗示がかかっているがまるで違う鏡像を広角レンズが映し出すのであって、しかも、そのA.J.Brown が一人になるために鏡の前に出ようとするとなんと!アンスル・ボルンが鏡の前で厭世に抱き竦められていて鏡と鏡像の極薄の中間に吸い込まれるように脱け出せない半鏡像は、しかし躁状態であればこそ問と解は反転してplotが展開するのである。


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