Tuesday, June 01, 2021

碧空1916 nautilus457(原作の、その蜃気楼の更新)

1916 nautilus457(原作の、その蜃気楼の更新)  魂ヲ賣ッテ、原作「ヴェルテル」を贖う読者諸君が、ヴェルテルが丑待ちの鏡をのぞき込んで逆せ上がる鏡と鏡像の中間のロッテではなく、場所と解離して実在するロッテを要請してEchoするのは、「ヴェルテル」の思いがけない解というだけでなく、原作の更新であって、読者諸君が魂ヲ賣ッテ原作を贖う資本主義的分業に適っている。  記憶と引き替えに原作を贖い、原作に本当に意味、価値、力があるかのように、従って記憶が、あるいは罪が、盗まれていることを知らない。それが、アンスル・ボルンとA.J.Brown の中間に起こっていることである。  「それはアンスル・ボルンという30歳の巡回牧師で、ある日(1887年1月17日)彼は銀行から551ドルの預金をおろし、突然グリーンから失踪、2ヶ月の間行方不明であった。この間彼はA.J.Brownと名乗ってペンシルベニアのノーリスタウンで小さな雑貨店を切りまわし、仕入れ万端を立派にやっていた。しかもこうした仕事はそれまでに一度もやったことがなかった。1887年3月14日、彼は突然覚醒して家に戻ったが、その間のことは完全に忘れていた」  記憶を(あるいは罪を)盗まれているのは一体誰なのか、一体何処に原作はあるのか、それが分からないように原作は、その蜃気楼を更新する。

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