碧空1974 nautilus525(被写体を完璧に保護する)
1974 nautilus525(被写体を完璧に保護する)
「それはアンスル・ボルンという30歳の巡回牧師で、ある日(1887年1月17日)彼は銀行から551 ドルの預金をおろし、突然グリーンから失踪、2ヶ月の間行方不明であった。この間彼はA.J.Brownと名乗ってペンシルベニアのノーリスタウンで小さな雑貨店を切りまわし、仕入れ万端を立派にやっていた。しかもこうした仕事はそれまでに一度もやったことがなかった。1887年3月14日、彼は突然覚醒して家に戻ったが、その間のことは完全に忘れていた」
それは、誰かが戸を叩くような煩悶とスリルなのである。あるいは、叫びながら目を瞑って墜落してみると、タイム・スリップしたような衝撃ではあるが軟着陸していて、しかもそこではどうやら他の誰かと瓜二つらしく、その、他の誰か(すなわち、もう一人の「私」)となって呼び出されてもう一人の「私」でいることが何か居心地いい、といったふうだ。
こうしたmetamorphosis は、完璧だ。「私」は後れて来るために自らを追い越す絶滅危惧種であるが、伝わらないから償うようにコピーした「私」は被写体ではないのに、というより被写体ではないからこそなのか、被写体を完璧に保護することになる。


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