Tuesday, August 10, 2021

碧空1985 nautilus536(種の如く蜃気楼、あるいは龍の如くアマルガム)

1985 nautilus536(種の如く蜃気楼、あるいは龍の如くアマルガム)  「それはアンスル・ボルンという30歳の巡回牧師で、ある日(1887年1月17日)彼は銀行から551 ドルの預金をおろし、突然グリーンから失踪、2ヶ月の間行方不明であった。この間彼はA.J.Brown と名乗ってペンシルベニアのノーリスタウンで小さな雑貨店を切りまわし、仕入れ万端を立派にやっていた。しかもこうした仕事はそれまでに一度もやったことがなかった。1887年3月14日、彼は突然覚醒して家に戻ったが、その間のことは完全に忘れていた」  ノーリスタウンの誰かが通りかかって、A.J.Brown が大あくびするのを目撃したはずだ。品物に傷がついたので今は安値で鬻いでいる、その店先で。  しかし、この雑貨商が、その言語を話す最後の一人であることは知らないし、隣村への途中で(隣村へはなんと!水中を移動するというのか)大きく息を継ぎに水面に浮かび上がって来た発作が一体何を模写しているのかも、その、最後の一人であることがどういうことなのかも、そもそもそんな言語が存在することなど思いもよらないし、そもそも最後の一人の器官の延長でなくなるような言語は種の如く蜃気楼、あるいは龍の如くアマルガムではないのか。  それは、本質の欠如が本質であるような魑魅の如く窺っているのである。

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