碧空2056 nautilus607(土人は静かにタアル語で言った)
2056 nautilus607(土人は静かにタアル語で言った)
Jesus Christは、ストップ・モーションと失踪の間に振動する。誰もいない部屋を呑み込んだ鏡をのぞき込むと、メランコリー状態の褐色の部屋がみるみる縮んでキノコになる、といった夢想あるいは寓話は、あるいは魔法というか、Jesus Christは誰でもない!、というより、誰もいない!とでもいうようだ。
ギョッとするような占拠、どこからともなく取り憑かれているような占拠、症状となって忘れてしまうような、漠として思い出そうとするような焦燥の占拠、そうした占拠の暗喩である。
それは、隠れていたものが顕れる効果に包まれるか、迫害じみた試煉であるか、つまり、真や善を装うか、ユーモアか、というより、真や善はユーモアなのか。
二時間もつづいて炎天下でアフリカ大平原を横ぎった後、土人は静かにタアル語で言った。
「長い間、お尋ねしようと思っていたのです。あなたが独りでこのような草原におられ、そして太陽がかように草むらの上を照らすとき、何ものかが話すように思われたことはありませんか。私が言うのは耳で聞こえるものではなしに、あなたが小さく非常に小さく、他の方が非常に大きくなるように思われるものです」


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