碧空2076 nautilus627(見回すHamlet)
2076 nautilus627(見回すHamlet)
Hamletは、モーゼのように、危機からの脱出を導く声が暗号や暗示や暗喩に変換されてとっくに届いてはいないかとでもいうように耳や触角を研ぎ澄まし、あるいは見回す。しかも、死体を前にしてどうしていいのか分からない、即興的反応の解発が頑として起こらない、その、死体を前にしての本能の欠如に狼狽して目を泳がせ、見回すというふうにだ。死体を前にして死体を覆い隠すのはありふれているが、それは、本能の解発ではあるまい。死体を曝すことも極ありふれているし、本能の段階にまで上り詰めた厳格な律法は今のところ見当たらないのである。
こうしてHamletは見回す。死体は厳格に管理されないから、隙をついて甲冑を鎧った先王の亡霊が化けて出る。甲冑を鎧った亡霊に変換されて、導く声がするのである。
つまり、この、見回す身振り発作となって現われた独白的対話は、本能の段階まで上り詰めようと足掻くのであるが、世界の終わりに出たために絶え間なく前進しているのに寸分も動かない究極のおののきなのではなく、要求の多い「美しい魂の告白」(nautilus626 )のような空回り、見えない実在を前にした魂ノ呼び声(問)が偶然の実践となって解けないで偶然の要請となって飛び出してしまうようなエラーなのである。


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