Wednesday, November 17, 2021

碧空2084 nautilus635(不思議な鎮静化)

2084 nautilus635(不思議な鎮静化)  漠として焦がれて騒立つようなものが泡立つように現前する、その、不思議な鎮静化は、途中までしかやって来ない「私」が後れて来る「私」になって、地上の遠近法が包むかに見える。それは、底なしの暴かれなさに出て遠吠えるような空腹を、果てしない旅愁を吹き込まれるのに、奇妙ニモ、重石が乗せられたように鎮まるのである。この、不思議な鎮魂のもう一つの分節は、何カ惜シイ!である。  そう自然が告げる。  咸平五年、建州ノ海賈周世昌風ニ遭ヒテ漂ヒ日本ニ至ル。凡ソ七年ニシテ還ルコトヲ得タリ。其ノ国人滕木吉ト至ル。上、皆之ヲ召見ス。世昌其ノ国人唱和ノ詩ヲ以ッテ来リ上ツル。詞ハ甚ダ雕刻ナレドモ膚浅ニシテ取ル所ナシ。・・・上、滕木吉ヲシテ持スル所ノ木弓矢ヲ以ッテ挽射セシム。矢遠キコト能ハズ。其ノ故ヲ詰ルニ、国中、戦闘ヲ習ハズト(宋史日本伝)  ゴロブニン船長の松前幽閉が解けたその年、ペテルスブルグの都から日本国への贈りものは、一個の時計だった。それは、発条を充たせば、川の如きものが横に流れ、馬首が出て来て水飼う工夫だった。  しかし、この「鎮静化」に修正を加えようとする「不思議」は、地上の遠近法の崩壊を洩らしてはいないか。

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