碧空2085 nautilus636(葛藤が涸渇しないように)
2085 nautilus636(葛藤が涸渇しないように)
運命や種や良心や精神といった底知れぬ無意識が偶然の個や悪や偽といった症状となって次元跳躍するのは、騒立つ罪(の如きこの世)が泡立つ罰(の如きこの世のもの)となって姿を現わすために姿を消すmetamorphosis であるから、何か贖罪のような救済のような不思議な鎮魂なのである。この症状の(薬師観音が身を窶した山中の一つ家の妖婦に「高野聖」(泉鏡花)が猿や蝙蝠や馬に変身させられてしまいそうでびくびくする、というより、とっくに変身させられてしまっているのにびくびくする、とでもいうような)服従性は、解である。
それは、目に見えない葛藤が、思いがけない症状となって姿を現わすために姿を消す解の如くであるが、葛藤が葛と藤に分割、解離して解消する、あるいは緩和する擬似治癒とは何か違う。これは、metamorphosis ではない。
葛藤を償うようにコピーした発作的症状、不思議な鎮魂としての隠喩は、葛藤の解消や緩和ではなく、plotの展開は、葛藤(問)が姿を現わすと同時に姿を消す症状(解)が問に反転して、というように隠喩的に継がれる神話的懲罰である。「ヴィルヘルム・マイスターの修行時代」(Goethe)の、その形成振りは、「父王の妃に懸想する王子」の、その、頓挫含みのつがい形成の葛藤に取り憑かれて、顎まで水位が上がって来て渇いた喉を潤そうとするとすっと退いてしまう、あの、焦らしまくる、いつ果てるとも知れぬ神話的懲罰の如く、女騎士!に到達したはずなのに、その瞬間からいくら前進しても遠ざかってしまう。
それはまるで、葛藤が渇渇しないように、とでもいうようだ。


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