Thursday, December 09, 2021

碧空2106 nautilus657(羞恥と畏怖)

2106 nautilus657(羞恥と畏怖)  宿世の気配を組成する矛盾、すなわち極端に私的である秘密性と隠れなさとに感応して萌芽するのが羞恥と畏怖である。  二時間もつづいて炎天下でアフリカ大平原を横ぎった後、土人は静かにタアル語で言った。  「長い間、お尋ねしようと思っていたのです。あなたが独りでこのような草原におられ、そして太陽がかように草むらの上を照らすとき、何ものかが話すように思われたことはありませんか。私が言うのは耳で聞こえるものではなしに、あなたが小さく非常に小さく、他の方が非常に大きくなるように思われるものです」  畏怖は恐怖ではない。隠れなさは、世界の終わりの如く、nowhere to hide だからである。それは何処かから襲いかかるというより、何処からともなく覆いかける、あるいはthere are noneであるのに誰かが話しかける。極端に私的なのに誰かが話しかけるまでに盗聴されているようで、まるで「私」が「私」を追い越したかのようで何かもう遅いが、異常接近に思わず身じろぐ羞恥は、身じろげばまだ躱せるとでもいうかのようだ。

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