碧空2107 nautilus658(中間の気配、生贄、羞恥と畏怖)
2107 nautilus658(中間の気配、生贄、羞恥と畏怖)
羞恥と畏怖は、まぼろしや蜃気楼まであと0秒の、その0の膨張である隠れなさに感応する。それは萌芽に過ぎないが、「私」が「私」を決定的に追い越して羞恥が畏怖に呑み込まれるエネルギー状態は、誰もいない部屋を呑み込んだ鏡の如くして、
二時間もつづいて炎天下でアフリカ大平原を横ぎった後、土人は静かにタアル語で言った。
「長い間、お尋ねしようと思っていたのです。あなたが独りでこのような草原におられ、そして太陽がかように草むらの上を照らすとき、何ものかが話すように思われたことはありませんか。私が言うのは耳で聞こえるものではなしに、あなたが小さく非常に小さく、他の方が非常に大きくなるように思われるものです」
鏡像と鏡の中間に被曝して、誰もいない部屋を呑み込んだ鏡の気配に吸い込まれるのであるが、この、二時間もつづいてアフリカ大平原を横ぎった炎天下に姿を変えた中間の気配は、音もなく降りて来た梟に野鼠が鷲掴みされ、頭からぐいぐい丸呑み込みされ、長々と嘴から垂れていた尻尾もすっかり胃袋に送り込まれる、そのようにして生きたまま小動物が餌食になる如く、模写発作的に羞恥と畏怖が感応する。


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