碧空2170 nautilus721(寂漠が覆う、偶然の片隅の真実らしさ)
2170 nautilus721(寂漠が覆う、偶然の片隅の真実らしさ)
この世の奥行は雌雄異体の気配であるから、寂漠が覆う偶然の片隅の真実らしさは、例えば車寅次郎の眼前に丹後の女や牛久の女が忽然と姿を現わす一隅のように、まるで狐に化かされたかのようだ。
こうして惚恍と姿を現わす片隅は、寂漠が、その極端な偏在から救済するのである。極端に私的な偶然の悪や偽といった部分が、運命がかった良心や精神といった全体に反転するまであと0秒の、その0の膨張に、落下するように浮かび上がるのである。この、場所の場所の浮上が救済なのである。
それは単なる片隅ではなく、何度ものぞきに戻らずにはいない片隅、すなわち目を見開いた片隅である。良心や精神といった無意識を地に偶然の悪や偽を演ずる部分と、潜伏して責める全体が解離しない裂目である。何度ものぞきに戻らずにはいない、あるいは、まるで狐に化かされたかのようであるのは、この裂目が魅するのである。


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