Friday, March 25, 2022

碧空2211 nautilus762(誰もいない部屋を呑み込んだ鏡をのぞき込む家長)

2211 nautilus762(誰もいない部屋を呑み込んだ鏡をのぞき込む家長)  「And Then There Were None」(A.Christie)は、誰もいない部屋を呑み込んだ鏡となって姿を現したミステリであるから、there are none!は、犯人捜しの頓挫というより、まるで立ち往生するような、救済の練習である。  それは、後れて来る「私」となって償うように姿を現す場所と、後れて来る「私」を償う目的(後れて来る身体)とが瓜二つであることの不安な虚構である。  猫や猿は鏡と鏡像の中間に被曝して、自らの鏡像からというより、あざ笑うように現前する他の猫や猿からついには頑なに目を背けるかに見える。しかし、猫や猿が鏡の背後に回り込んでみても誰もいない!し、誰でもない!その、誰もいない部屋を呑み込んだ鏡を何度ものぞきに戻らないではいない興奮に思わず振り返るのだが、まるで忘れようとでもするかのような身振りにしか高まらないのである。  しかし、オドラデク!に被曝した家長は、誰もいない部屋を呑み込んだ鏡をのぞき込むように何度も、発作的に振り返る。誰もいないのか誰でもないのか、その区別をおかされたオドラデク!の気配を振り切れないのだ。(nautilus761)

0 Comments:

Post a Comment

<< Home