碧空2293 nautilus844(トリストラムの胸騒ぎ)
2293 nautilus844(トリストラムの胸騒ぎ)
大海原に船を乗り出してやがて船は視界から消えるが、望遠鏡でのぞめば船影があらわれ、また見えなくなっても望遠レンズをもっと強力にすればまた船影が戻って来る、しかし、決定的に姿が呑み込まれて消える特異点があって・・・これは大地が球を成すことの子供向けの説明以上の何かを孕んでいて、こうして年を経て、唐突に何かの暗喩ではないかと胸騒ぎがする。
何度ものぞきに戻らないではいない鍵穴の向こうの誰かの顔は、のぞきに戻るごとに膨れ上がっていって終には誰もいなくなる。誰もいないと知って部屋に入るのは、誰もいない部屋を呑み込んだ鏡
に吸い込まれるのだし、誰もいない部屋になるまでに(あるいは誰でもなくなるまでに)膨れ上がる、その最終状態まであと0秒の、その0の膨張に咀嚼、嚥下されてしまうのだし、しかも、その最終状態が何度も戻って来るかのように遠ざかるのだ。
こうして、metaphorの気配が消失しかけても、途切れかかると空中から生まれて来るOLD BENの足跡の如くして、トリストラムの胸騒ぎは中世の空に鳴り渡る鐘声の如く鎮まらない。


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