碧空2326 nautilus877(祝うmetaphor)
2326 nautilus877(祝うmetaphor)
右手はデュールの谷から聖アンドルーの城門まで、左の方は聖マグダラの門から川の岸の間、リールの外壁を襲う猛攻の、その間断のない十字砲火をどうジオラマは表現するか。伍長トリムに閃いたのは、同じ頃に兄トムがユダヤ人の後家と結婚したのを報告する際にスペインのモンテロ帽一つとともに齎した、トルコ式のパイプ二本である。
そのパイプの、煙草をつめる方の先に柔らかいもみ革の細い管を三本ずつとりつけ、さらには、その管の先にそれぞれ錫の管を金具で取り付け、その先をそれぞれの野砲の点火口に繋いで、その繋ぎ目は粘土で煙が漏れないようにする。もみ革の管をパイプのモロッコ革の管に差し込むところも蝋びきの絹布で一つ一つ密閉するように縛りつける。
こうして、何か別にあるかの如く漂うアイデアを満たして、ジオラマの六門の野砲が一斉に火を噴く仕掛けの、その即興の珍妙振りは人知れず喝采を呼んで華々しいし、ホメロスの戦闘の叙述の如く、造化の妙を、あるいはこの世のものが媒体であることを祝う暗喩である。
この、数寄とも物好きともつかぬ衝動に駆り立てられたトリストラムの叔父トウビーや忠実なトリム伍長といった人々の、この世の片隅の淋しい情景は、諸芸諸学の淋しい愛好者トリストラムの、そのディレッタント振りを代表する生首の、その首実検の如く鏡像をのぞき込んで祝うmetaphorでもあるし、同じと見なして支配するcategoryでもある。(「The Life and Opinions of Tristram Shandy,Gentleman」L.Sterne)


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