碧空2337 nautilus888(列挙して惚たり恍たり)
2337 nautilus888(列挙して惚たり恍たり)
ガンディとサヴォイの県境の山間に位置するアンドゥイエの町、そこの尼院長は、長い年月に亙る暁祷から来る膝の関節硬直症に悩み、その治療は、最初は祈祷、その次には天上の聖者たちへの誰彼の見境のない呼びかけ、さらには尼僧院に伝わる聖遺物、とりわけ若くして歩けなかったルステラの男の大腿骨で患部をなでさする、患部にロザリオを十字になるように乗せる、寝るときはヴェイルで丹念に患部を包み込む、それから世俗の人を呼び込んで油やら動物の脂やらを患部に塗り込んだり、罨法を施したり、次にはウスベニタチアオイ、ただのアオイ、ヘンリー王という名の植物、白百合、コロハなどの薬草で湿布する、法衣のマントを膝に掛けておいて木を煎じて湯気を吸い込む、そうかと思うと野生のキクニガナだのオランダガラシだのシャクだのヤブニンジンだのコクレアリアだのを煎じて服用するも、どれもこれも空しく、とうとう最後にはブルボンで湯治を試みることになる。
トリストラムは、あるいはロレンス・スターンというべきか、ともかくも列挙のよろこび、列挙の惚恍に通じていて、防御堡の種類を列挙しては、あるいはパリ1716年当時の聖者の名をあるいはそれに匹敵する名を冠した地区とそれぞれに属する街路の数を列挙しては、あるいはまた聖なる治療も魔術的な民間治療もふたつながら多彩に列挙して、うっとりするのである。


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