碧空2344 nautilus895(記憶改竄のトリック)
2344 nautilus895(記憶改竄のトリック)
「モンスター」(浦沢直樹)の闇の核心は、双子の妹がドアを開けると、迎えてくれたのは双子の片割れである兄ではなく妹自身であるという、まるで部屋が鏡であるかのような、記憶喪失の闇に浮かぶ孤島の如き記憶の謎である。邪悪にも、この鏡像は左右、前後ばかりか、発語まで反転してタダイマ!ではなくオカエリ!なのだ。
迎えてくれたのが鏡像ではなく帰還した妹自身であるのならば、これは一体誰の記憶なのか!ドアを開けたのは一体誰なのか!そもそも、鏡像と鏡像の前の誰かを同じと見なすcategoryも何か邪悪で、偽りはないのか!
こうした、誰もいない部屋を呑み込んだ鏡が誰でもない、その鏡の破裂は、すなわち、後れて来る「私」と鏡像が解離しないで薄気味悪く迫る鏡と鏡像の中間の暴露は、遠近法に包まれては、瓜二つの双子の兄が片割れの妹を装って姿を現わす双子のトリックに見える。それは、妹がしたことを打ち消す記憶改竄のトリックである。
metaphorの気配は、遠近法に包まれては、plotの展開に見える。「モンスター」の展開は、妹がしたことを打ち消すために瓜二つの兄ヨハンが何度も復活するように追い詰められている。脳外科医天馬はそのための器官の延長に過ぎないし、復活のたびに小さく小さく邪悪の密度を深めて制御不能なまでに膨れ上がる瓜二つの兄さえ妹がしたことを打ち消すための器官の延長に過ぎなく、本当のモンスターは魘されるように韜晦する。それは、妹と入れ替わるまであと0秒の、その0の膨張なのである。


0 Comments:
Post a Comment
<< Home