碧空2423 nautilus974(The Ectopia of the House of Usher)
2423 nautilus974(The Ectopia of the House of Usher)
アッシャー家の、悪魔みたいに赤く膨れ上がって沈む満月を孕んだ屋敷は、千の悪魔が咆哮するような月の紅潮に亀裂を走らせて月が破裂したかのように破片を降らして崩落する、その没落まであと0秒の、その0の膨張は、悪魔みたいにスロー・モーションで今を主張していて、悪魔みたいに疲れているし、悪魔みたいに大あくびをかくし、双子の悪魔みたいに魘されている。
石を投げ入れてみたくなる屋敷は、地下に潜める満月が頭上に降りて来るectopia(位置異常)まであと0秒の、その0の膨張に、まるで吹き替えか重低音の腹話術で話し出すように、励起する。急に眼を醒まされた悪魔みたいに背中に手を伸ばすとか、腋を探るとか、胡座をかくとか頬杖をつくとか手を叩くとか、顳を人差し指で掻くとかして、ぽっかり空いた、詰めても塞いでも底のない穴に瓦落多やら丸めた紙屑やら青銅の十円玉やら附録やら奇想と焦燥や疾しさと胡桃やエジプトの暁の空と紫の煙や牛乳石鹸や半開きのドアやら雨に破れかけた街角のポスターやら秘密とガラス瓶とモーカン姉妹やらを続々と投入して落ちていく闇に耳を欹てるように、屋敷は持ちこたえていたのだ。


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