碧空1547 nautilus498(ノスタルジーの自乗)
1547 nautilus498(ノスタルジーの自乗)
通りかかる壁に写る「私」の影が、打ち消したはずの細部や片隅であるような、その、胸が張り裂けるようなノスタルジーは、打ち消すまでにコピーする憧憬のun-copy である。
鶴女房が壁に異類の影を写すのはノスタルジーの(憧憬のun-copy の)例解あるいは暗喩であるが、その、二重の覗き穴を通した転移発作的な二重の模写は、ノスタルジーの自乗である。
それは1だろうか、-1だろうか。
鶴女房が壁に異類の影を写す妖しさは、のぞき込む「私」が深々と息を呑んであやしむエコーである。鶴女房が打ち消した異類の影が壁に写っていて、知らぬ間に異類に乗っ取られている鶴女房をノスタルジーが襲うのではない。鶴女房が異類を打ち消すまでにコピーする憧憬のun-copy に胸が張り裂けるばかりであるのは、二重にのぞき込む「私」の「私の」浮上なのである。


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