碧空1847 nautilus598(扉は閉まっていた)
1847 nautilus598(扉は閉まっていた)
扉は閉まっていた!
咸平五年、建州ノ海賈周世昌風ニ遭ヒテ漂ヒ日本ニ至ル。凡ソ七年ニシテ還ルコトヲ得タリ。其ノ国人滕木吉ト至ル。上、皆之ヲ召見ス。世昌其ノ国人唱和ノ詩ヲ以ッテ来リ上ツル。詞ハ甚ダ雕刻ナレドモ膚浅ニシテ取ル所ナシ。・・・上、滕木吉ヲシテ持スル所ノ木弓矢ヲ以ッテ挽射セシム。矢遠キコト能ハズ。其ノ故ヲ詰ルニ、国中、戦闘ヲ習ハズト(宋史日本伝)
宋史日本伝はここで図らずも滕木吉の人生の要約を記している。修一郎君の、迷子になりたいという奇妙な願いを今日こそは成し遂げるのだと意気込んでめちゃくちゃに歩き回ったはずなのに、結局は海へ出てしまって落胆した日のように。
扉は閉まっていた!誰かの吐息がしきりに頬にかかるのは、きっと要約なのだ。


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