碧空1855 nautilus606(虚無の突然の出現)
1855 nautilus606(虚無の突然の出現)
心臓の高鳴る律動が軽々と身体を宙に持ち上げてしまう恋の隠れなさから物狂おしく遠吠える告白は、大量の思いが押し寄せて喉が詰まって何も言えないのではなく、好きだ!と叫んでいるのに狐面や笑い面や孫次郎をかむって誰だか分からないので、オマエハ誰ナノ!と呻いているのである。好きだ!というのは単に種の良心の白状に過ぎない。それは、種の良心を打ち消すまでにコピーする偶然の憧憬であるから、まるで罪深いかのように、密通するかのように翳るのである。
恋はどうして秘密に息づくのか。告白の息遣いは何を恐れるのか。告白はどうしたいのか。
すなわち、偶然の憧憬と思い知らされたくないのであるし、告白は、どんなに思い焦がれていても他の誰かのことになってしまう仕掛けなのである。種の良心を打ち消すまでにコピーする変態の、その憧憬には、この「私」ではなくなる恐怖が潜んでいる。
つまり、恋は、身も世もなくなる虚無の突然の出現を孕んでいる。


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