碧空1876 nautilus627(絶対の差異)
1876 nautilus627(絶対の差異)
山幸彦が仮に我物である如く使えるように海幸彦が貸した釣針と同種の、同じ形同じ大きさ同じ重さ同じ質の釣針ではなく、あの釣針、あの時に海幸彦が渡したあの釣針を、よしんばタイム・スリップして回収したとしても決して元の釣針と平等ではなく、そこまで海幸彦が不寛容になる症状は、どう折檻しても憑いた狐を叩き出せない苦悶、女が折檻に柔順に耐えれば却ってどうしようもなく我物でなくなっていくもどかしさの如くである。
海幸彦には、そのような解決しない不寛容や憤怒や嫉妬が、釣針の紛失に面して交換不能の絶対の差異となって噴出するのである。


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