碧空1890 nautilus641(昼間の奥地、偶然の憧憬)
1890 nautilus641(昼間の奥地、偶然の憧憬)
二時間もつづいて炎天下でアフリカ大平原を横ぎった後、土人は静かにタアル語で言った。
「長い間、お尋ねしようと思っていたのです。あなたが独りでこのような草原におられ、そして太陽がかように草むらの上を照らすとき、何ものかが話すように思われたことはありませんか。私が言うのは耳で聞こえるものではなしに、あなたが小さく非常に小さく、他の方が非常に大きくなるように思われるものです」
この昼間の奥地は、偽も同然の昼間の奥地の鼓動がずっと続く敷石となって祟る如く、どこまでも太陽を照り返して続く草むらとなって祟る偶然の(タアル語の)憧憬であるが、この時間の不安の断面は、隠れなさからまるで告白するかのようで「私」のことではなくなる。
この昼間の奥地は、この世ならぬ虚無の忽然とした出現に、強硬症の如く、立ち竦んでいるのである。昼間の奥地が、「私」のことではなく他の誰かのことになって、立ち竦むのである。


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