Friday, July 21, 2023

碧空1891 nautilus642(偶然の偽も同然のOLD BENが話す)

1891 nautilus642(偶然の偽も同然のOLD BENが話す)  二時間もつづいて炎天下でアフリカ大平原を横ぎった後、土人は静かにタアル語で言った。  「長い間、お尋ねしようと思っていたのです。あなたが独りでこのような草原におられ、そして太陽がかように草むらの上を照らすとき、何ものかが話すように思われたことはありませんか。私が言うのは耳で聞こえるものではなしに、あなたが小さく非常に小さく、他の方が非常に大きくなるように思われるものです」  強硬症の如く絶えず前進しているのに一歩も進まないのは、この世ならぬ虚無の忽然とした出現が「私」のことではなく他の誰かのことになって隠れないのである。  昼間のデルタの奥地の湿地にずっと続く足跡の、滲み出す水に音もなく崩れて途絶えるかと見えてもそれ自体を後れて辿るように空中から生じてずっと続く足跡の、その、偶然の憧憬の先で偽も同然のOLD BEN (「熊」W.Faulkner)が、「私」の秘密ではなくなるように話す。

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