Saturday, July 22, 2023

碧空1892 nautilus643(無意識の断面)

1892 nautilus643(無意識の断面)  二時間もつづいて炎天下でアフリカ大平原を横ぎった後、土人は静かにタアル語で言った。  「長い間、お尋ねしようと思っていたのです。あなたが独りでこのような草原におられ、そして太陽がかように草むらの上を照らすとき、何ものかが話すように思われたことはありませんか。私が言うのは耳で聞こえるものではなしに、あなたが小さく非常に小さく、他の方が非常に大きくなるように思われるものです」  この、タアル語となって尋ねるのは、音も立てずに「私」を呑み込んでずっと続く炎天下の草むらの沈黙を打ち消すまでにコピーする「誰かが話す」、その、鬱然として「私」ではなくなる畏怖である。それは、偽も同然の無意識の断面であるが、「誰かが話す」拡声器のような太陽は、鬱然として虚無も同然の隠れなさを打ち消すまでにコピーする憧憬なのである。

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