碧空1972 nautilus723(神話的ECHO)
1972 nautilus723(神話的ECHO)
「私」になるように他の誰かになってしまう魔術的転移の、そのECHOは、神話的である。つまり、twice-told-ness がかかっている。
「雁」(鴎外)の、あの、籠の鳥の如く若くして囲われた囚われの女が、決まった時刻に通りかかる学生への想いが募っていつの日か救い出される日を夢想するまでに焦がれている、そんなある日、モノクロームが天然色に変わるように、窓辺に吊り下げた籠の小鳥を蛇が襲う!折しも通りかかった学生が悲鳴を聞きつけて退治!という段になって思いがけない肩透かしを食らう。八百屋だか酒屋だかの小僧が一足早く介入して救出への異常接近を図らずも阻んでしまうのである。
これは神話的ECHOの頓挫なのではなく、なおも女は、アナタガ好キ!と叫んでいるのにオマエハ誰ダ!と口走っているのである。ナルキッソスが(ケンタウロスが個と種にではなく異種に分解する如く)学生と小僧に曖昧に分業していて、神話的ECHOは変形しているが、twice-told-ness がゴーストの如くかかっているのである。


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