Thursday, December 28, 2023

碧空3049 nautilus1392(ポロニウムの青白い放射線の如く)

3049 nautilus1392(ポロニウムの青白い放射線の如く)  「それはアンスル・ボルンという30歳の巡回牧師で、ある日(1887年1月17日)彼は銀行から551ドルの預金をおろし、突然グリーンから失踪、2ヶ月の間行方不明であった。この間彼はA.J.Brownと名乗ってペンシルベニアのノーリスタウンで小さな雑貨店を切りまわし、仕入れ万端を立派にやっていた。しかもこうした仕事はそれまでに一度もやったことがなかった。1887年3月14日、彼は突然覚醒して家に戻ったが、その間のことは完全に忘れていた」  百年もの営みから排除された瓦落多がびっしり詰め込まれた屋根裏部屋で弁護士の息子ハンスがもう一人のハンスを見つけるような(F.Kafka )空ろな日に、アンスル・ボルンの屋根裏部屋には空中に漂う塵が砂嵐のようなノイズをおこしていて、罰を食ったニルスの如く小さくなった気がしたアンスルが俄然鏡をのぞき込むと、なんとA.J.Brown !ではないか。アンスルはまるで悪いことをしていたみたいに俄然反省するのだ、気を失っていたのだ!と。  良心の要請であるA.J.Brown は、気を失うまでの憧憬なのである。それは、キュリー博士が日暮れ時の窓越しに研究室の暗がりに見た、あの、ポロニウムの青白い放射線の如くである。

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