Tuesday, January 09, 2024

碧空3061 nautilus1404(山幸彦の鏡像、鶴女房の意図)

3061 nautilus1404(山幸彦の鏡像、鶴女房の意図)  鮭の大海の遊弋は遠からぬ世界の収斂の漠とした予期に衝き動かされていて、果たして源泉へ狭まっていく遡上は、あの、声にならない産卵や射精の叫びに至るのであるが、それは、「魚服記」なら大蛇になる変身の苦痛であるし、敷浪打ち寄せる浜に投げ返しても投げ返してもまた上がって来る鏡ヶ浦の魚なら鱗を剥がしても剥がしてもまた生えて来る致命的な憧憬なのである。  山幸彦が産屋をのぞき込んではならない禁止は、その窃視が鏡をのぞき込むようなもので、体表にびっしり鱗が生えている秘密を他の誰かのことにする魔術的転移がもしかして暴かれてしまうのを危惧するのである。というのも、知ろしめすことは、この魔術的転移を不断に駆使して、それが鏡像であることを隠すのと一つに於いて一体の種の如く導く存在になることだからである。  鶴女房の場合、山幸彦が本当の姿を現わすために♀の魚族となって姿を消すように、偶然の♂が本当の姿を現わすために鶴女房となって姿を消す。つまり、のぞき込まれた鶴女房は、オマエノコトナンダゾ!と告知しているのである。異類と女の間に振動する鶴女房は種と個の中間の隠喩であるから、マリアが種と個の中間を受胎する如く、偶然の♂を種と個の解離しない戦慄がおかすことが鶴女房の意図である。

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