Friday, January 12, 2024

碧空3064 nautilus1407(「雁に乗る小人」)

3064 nautilus1407(「雁に乗る小人」)  二時間もつづいて炎天下でアフリカ大平原を横ぎった後、土人は静かにタアル語で言った。  「長い間、お尋ねしようと思っていたのです。あなたが独りでこのような草原におられ、そして太陽がかように草むらの上を照らすとき、何ものかが話すように思われたことはありませんか。私が言うのは耳で聞こえるものではなしに、あなたが小さく非常に小さく、他の方が非常に大きくなるように思われるものです」  天使の戦慄、唯一性は、宙に浮いてしまうのである。それは、ニルスが雁に乗った飛行のように翼が生えて及んだ揚力に笑ってしまうというような気分であるだろうし、宇宙空間に浮かんで足元の深淵を見下ろすような、あるいは深淵から呼ぶ声がして戦慄するような気分なのである。  「雁に乗る小人」は、こうした、臨在が迫って宙に浮いたアフリカ大平原に迫る。ニルスの不思議な冒険は、百年にひとたび姿を現わす都が迫る、天使の戦慄である。

0 Comments:

Post a Comment

<< Home