碧空3214 nautilus1557(盗まれたメランコリー)
3214 nautilus1557(盗まれたメランコリー)
「それはアンスル・ボルンという30歳の巡回牧師で、ある日(1887年1月17日)彼は銀行から551ドルの預金をおろし、突然グリーンから失踪、2ヶ月の間行方不明であった。この間彼はA.J.Brownと名乗ってペンシルベニアのノーリスタウンで小さな雑貨店を切りまわし、仕入れ万端を立派にやっていた。しかもこうした仕事はそれまでに一度もやったことがなかった。1887年3月14日、彼は突然覚醒して家に戻ったが、その間のことは完全に忘れていた」
地下から湧いて来る小人たちの躁状態は、グリーンに陽はまた昇る日々の涸渇というよりは、まるでメランコリーが盗まれたとでもいうように打ち騒ぐ変態(飛躍)である。
小人たちのメランコリーに翼が生えた種と個の中間の露頭である、ノーリスタウンの小さな雑貨店の、A.J.Brown と名乗る主人のおどけた発作は、アンスル・ボルンが屋根裏部屋で小人の巡回牧師になる大視症のエコーなのである。
この、屋根裏部屋に小人が出そうな気配はノリーリスタウンの小さな雑貨店のショー・ウィンドーを飾る天使の石膏像となって質料化、盗まれているのであるが、それは、アンスル・ボルンが巡回牧師に戻る覚醒まで浦島の如く時計がひどく遅れ、一瞬の脳震盪が2ヶ月の失踪に飛んでしまうようなものである。


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