碧空3268 nautilus1611(検知されないユピテル)
3268 nautilus1611(検知されないユピテル)
ユピテル(の服を着替える夢)は、夢に迫る夢の予定調和的な平均値すなわち一体の種の如くであるから、本来の「私」が他の誰かで、まるで他の誰かにかかった容疑で呼び出されるような独身者K(「審判」F.Kafka )をユピテルだとは検知できない。
未来の「私」が他の誰かであるようにタイム・スリップする、あるいは記憶喪失にかかる失踪者K(「アメリカ」同)も、下の方から首まで透明になっていく身体の輪郭を尋ねて「城」(同)に段階を踏んで分け入っていくのに感応して奥行も段階を踏んで拡大してしまうというように監視される測量士Kも、ユピテルと呼ばれる変身能や拉致や好色となって姿を現わした媒体性のグロテスクな変形なのであるが、ユピテルだとは検知できないのである。
牡牛に変身してヱウロパを拉致するユピテルと黄金の雨となって襲うユピテルを同じと見なすのは、ユピテルが言葉の如き媒体となって機能するのであるが、ユピテルと牡牛が解離しない一体の種の如き媒体は、黄金の雨がユピテルだとは検知できない。


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