碧空3280 nautilus1623(防毒覆面を装着した少女たち)
3280 nautilus1623(防毒覆面を装着した少女たち)
モナリザを何度ものぞきに戻らずにはいないのは、写るはずのないものが写っている心霊写真に瓜二つだからである。モナリザの背後をとった荒野は、見詰めているうちにぞっとする。それは、モナリザの下の方から首まで上がって来て、その、写るはずのない場所が荒野となって迫るのである。それは、変脱するゴーストの隠喩である。モナリザが装着した防毒マスクの正体は、このゴーストがかかるのであるから、見詰めているうちに気味悪くなるし、覆面にのぞいた目は荒野を吸い込む遠近法の消失点でもある。
清水の舞台から振袖を広げ傘を開いて青い蝶になって空中に身を躍らせる少女(鈴木春信)は、防毒マスクを装着して飛ぶようなものである。少女は個体ではない。戦争末期に傷病兵の看護に動員された白衣の少女たちが防毒覆面を装着してこちらを見ている集合写真は、たった一体の個にもならないことの記念である。


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