碧空3284 nautilus1627(一陣の位置異常)
3284 nautilus1627(一陣の位置異常)
深宇宙にエコーした産卵機械、一体の種の如き女王ALIEN は、孤独や自由とは何かまるで違う。虚像になるまでズーム・アップした究極の母性である。しかも、母性は、乗っ取られた気配を打ち消すまでにコピーする憧憬であるから「私」と瓜二つで、この「私」が孤独や自由とは何かまるで違う矛盾を孕んでいる如く、一体の個にもならないのである。
手塚治虫が肉薄する、その、乳房のあるロボットは、マリアと呼ばれていた。マリアは深い宇宙に浮かぶ星に置き去りにされる、その別れの一瞥で乗っ取られたように懐胎するが、それは、誰もいない星に母性が胎動し始めるようなもので、しかも、誰もいない星に「私」が胎動し始めるようなものである。その一瞥は、誰もいない星が下の方から首まで上がって来る一陣の位置異常であるし、誰でもなくなるまでに「私」をズーム・アップした一陣の位置異常である。
この一瞥が、レオナルドの受胎告知図では、あの、壁を透視する窃視に曝されたマリアの一陣の位置異常が可視的になる構図なのである。


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