碧空3298 nautilus1641(不眠症と嗜眠症の中間)
3298 nautilus1641(不眠症と嗜眠症の中間)
置き去りにされた日々を窃視する(誰でもないまでに誰もいない)密室が宙返りして後れて来る他の誰かの、その遠近法の(その、不断に限界が拡大する)展開は躁状態であるが、その消失点は置き去りにされた日々が一気に潰されて呑み込まれるメランコリーの潜伏である。
不断に限界が拡大する展開の、総掛かりの器官の延長の、その不眠のエネルギー変換は、不断に限界が拡大する言語の、総掛かりの隠喩の、その不眠のオートマチズムの如くである。
この不眠は、メランコリーが永久機関であることの暗示であるが、不眠症と没交渉というのではない。メランコリーを打ち消すまでにコピーする憧憬は躁状態であるから、メランコリーから自由になろうとして自由にならない躁状態は、不眠症というより、大気が濃厚な眠気になる晩秋の如き嗜眠症である。不眠症は嗜眠症のエラーのようなものである。
というのも、運命が姿を現わすために偶然となって姿を消す憧憬はエラーじみているように、不眠症はどこでも吸い込まれるように眠り込んでしまう嗜眠症を打ち消すまでにコピーする憧憬なのである。
濃厚な眠気が垂れ込めるトランシルバニアを通りかかる旅人を扇いで眠らせるDracula の、その、蝙蝠や蜥蜴や唸る蝿や遠吠える狼や倫敦の濃霧やテンペストや、他の誰か!にさえ変身する不眠の限界拡大は、輪郭を喪失する熱平衡やどこでも吸い込まれてしまう嗜眠症から自由にならない焦燥である。Dracula は、不眠症と嗜眠症の中間なのである。


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