Saturday, September 07, 2024

碧空3303 nautilus1646(窃視のカウンター)

3303 nautilus1646(窃視のカウンター)  危機に噴き出す原罪はメランコリックな奇想であるが、この地殻変動は、時として特攻のアイデアを励起する。  13人の写真が笑っている!のは、前列の「私」水谷の背後から何か霊の如く覆いかぶさって来る12人を代表して「私」が笑っているのである。後列の右から4番目に屈んで列をくつろがせているのは中村千松、「私」とは同郷の友で二人だけで撮影した写真が遺されている。この12人を、「私」は置き去りにするのである。  13人が被窃視状態の一枚の写真には、リンガ諸島付近の海の没関心の、その、すぐそこにある断崖も人知れず写し込まれていて、それは1944年9月のことで、1945年4月までの活発な地殻変動が特攻の奇想を噴出するが、「私」は異動を命じられて下船していたから、東京で戦艦大和の沈没を知らされ、愚鈍にも12人に置き去りにされた「私」の顔面は粛まってしまう。  しかし、この粛まる痙攣も12人を代表するのだ。ライカを覗きまくる塩谷恭三が多羅尾伴内の如く飛行士に変装してこちらを見て微笑む写真のように、それは、窃視のカウンターである。13人の写真が笑っている!その、こちらとは、撮影する塩谷恭三でも写真から脱け出すように置き去りにされた「私」でも古い写真を見下ろす子孫でもなく、すぐそこにある断崖である。

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