Monday, January 13, 2025

碧空3431 nautilus1774(ジャンヌとイボンヌ1)

3431 nautilus1774(ジャンヌとイボンヌ1)  南仏のアルルに生まれたジャンヌ・カルマン(Jeanne L. Calment:1875~1997)は、叔父の画材店をバン・ゴッホが汚くて、だらしのない服装で訪れた、と13歳の頃の話をする。  それは、最高到達点である122 歳のジャンヌの生涯を総括するエピソードなのか、というのも突然生涯を総括するような異常接近の記憶が襲うものだからなのだが、あるいは、枯髑髏のような記憶が何度も繰り返し思い出されるうちに段々と肉付けされて気づくとゴッホが復原されていたとか、あるいは、永井荷風が大黒屋でカツ丼を食べていたとか蝙蝠傘を持って浅草へ出掛けるのを見たとかいう話が尽きないように、ジャンヌがゴッホを目撃した気になっている記憶改竄なのか。しかし、記憶改竄は、生涯を総括するエピソードの隠喩性に匹敵する。  なぜかロシア発の研究報告は、実はジャンヌは59歳で死亡していて、目の色は違うもののジャンヌに瓜二つの娘のイボンヌが、相続税逃れのためにジャンヌになりすまして長寿を全うすることになったのだ、と主張する。  それは暴露というより、図らずも、生涯を総括するエピソードの、その隠喩のつづきの如き敷衍なのである。イボンヌは誰なのか。この、すれ違う隣人は、ジャンヌの見たバン・ゴッホのように思わず喝采したくなるほど何でもない!  それにしても、ジャンヌとイボンヌ、うっとりする!

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