碧空3458 nautilus1801(魔術的メランコリー)
3458 nautilus1801(魔術的メランコリー)
ドアの鍵穴から部屋をのぞき込むと見える鏡には裸身を広げた女体が映っていて、どこからともなく伸びて来る、部屋そのものであるまでにおおきな蛸の腕がからだに巻きつき滑り込むように凌辱しようとしていて、全身今にも蛸に置き換わってしまいそうだが、その、一瞥にして取り残される蛸は一体何だというのか。
裸身を広げた女体から逃亡する若僧が潜み隠れた釣鐘に、若僧の影である如くたちまち追いついて来た大蛇が巻きつき、瞋恚の火むらを上げ、全身今にも大蛇に置き換わってしまいそうだが、釣鐘に取り残されたのは大蛇ではなく、灰が遺されるのでもなく、一滴の露に変わり果てるのである。(道成寺曽谷本)
清水の舞台から果敢に飛び降りる振袖の少女が広げる傘(鈴木春信)は、運命の人のもとに着地するための落下傘である以上に、その、思いがけない異常接近にそなえて魘されるように裸身を開いた女体告知である。


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