碧空3501 nautilus1844(範疇の奇術、個体の流通)
3501 nautilus1844(範疇の奇術、個体の流通)
個別化されると同時に一般化されて個と種が二重に解離した個体の流通は、いつの間にか、というより、突如として個体の一貫性が萎む騙し絵である。意味や価値や権力のように、個体のエネルギー状態は得体が知れない。真ではないが偽ではなく、騙したがっているが騙せないのである。
個と種が二重に解離した個体とは、範疇に二重に保護された個体である。例えば海幸彦の本の釣り針を山幸彦が瓜二つの釣り針で償おうとするといった同種のものの水準で解離した個体と、その本の釣り針を海底に失った後に悩む魚から再発見されるといった同一のものの水準で解離した個体の如く、異なるのに同じになる範疇の奇術が二重の水準でそれと知らず使いこなされた個体の流通は、二重の騙し絵なのである。
範疇の奇術が使いこなせない失語症では、個体は流通しない。同種のものの水準の釣り針が出現することはなく、同一のものの水準の、屋根裏部屋で再発見した「モナリザ」は行方知れずになっていた「モナリザ」なのではない。


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