碧空3545 nautilus1888(津軽の拙さ5)
3545 nautilus1888(津軽の拙さ5)
襲う記憶やアイデアがでたらめに続くことはない。漠とした生活の気が、そうしたくっきりした隠喩となって夢の如く姿を現わすのである。
10月11日、終日薄日、卓の上にさっきはなかった石鹸がくっきりのっている。「木の葉がちらちらと顫えた。そのうちに枝を離れ、流れはじめた。一葉ずつ、目で数えたくなるほどくっきり」
一葉一葉は極端に私的なブラウン運動であるが、その予定調和的な平均値が不断に限界を拡大して昇格した一体の種の如き「葉」の方解である。くっきり!というのは、何も変わっていないのに(まるでさっきはなかったかの如く)取り替えられてしまっている異常と、時間が拡大して一葉ずつ数えられるまでにスロー・モーションを羽織った方解である。
そのようにして、「晩年」(太宰治)の虚構のラインアップは、襲う記憶やアイデアがでたらめに続くのではない「葉」の構造の再発であって、何か極端に私的に迫ろうとする隠喩から脱出を試みても空を掴むのである。


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