碧空3554 nautilus1897(「私は嘘つきである」を解脱できない邪悪)
3554 nautilus1897(「私は嘘つきである」を解脱できない邪悪)
「ところでこの世界のすべての運動の中で最も規則的で最も自然で最も宇宙の秩序に合致している海のゆれ動きを、ド・ランクルは有毒だと考えた。その運動は、人間の心に危険な誘惑、起こりそうもなく何時も満たされない夢想を示し、邪悪な無限の形像そのものだった」
自殺幇助あるいは擬装心中ではないかと疑われている「葉蔵は、はるかに海を見おろした。すぐ足もとから、三十丈もの断崖になっていて、江の島が真下に小さく見えた。ふかい朝霧の奥底に、海水がゆらゆらうごいていた」(「道化の華」太宰治)
続いて、「否、それだけのことだ」と「私」が足下に打ち消すのは、海草のように揺れる海に女が呑まれていく光景が(深い霧の奥底の衝動が)真下の江の島のようにのぞいたのである。
海のゆれ動きは、「私は嘘つきである」を解脱できない邪悪が姿を現わすために、「この世界のすべての運動の中で最も規則的で最も自然で最も宇宙の秩序に合致」したOLD NICKの運動となって姿を消したのである。


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