Tuesday, May 27, 2025

碧空3565 nautilus1908(私小説の極致)

3565 nautilus1908(私小説の極致)  反対のものを好む精神は、反対のものが潜伏しないのをきらう。反語を好む精神は、虚構が虚構の気配を消さないのをきらう。擬態が擬態の気配を消す習性は、偽が潜伏しないのをきらう。  Jesus Christを三分身にすると、仙術太郎、喧嘩次郎兵衛、嘘の三郎(「ロマネスク」(太宰治))といったペルソナになる。大雑把な位格のようでも精妙のようでもある。Jesus Christがおそるおそる鏡をのぞき込むと、「色が抜けるように白く、頬はしもぶくれでもち肌であった。眼はあくまでも細く、口髭がたらりと生えていた。」  天平時代の仏像の顔であるが、どこか人知れず喉仏を鳴らすように相好が崩れる気配がする。擬態の気配を消せないのは(擬態が暴露して取り残された蟷螂のようであることは)Jesus Christの性格の弱さのようでもあるが、ユーモアのようでもある。マタイやマルコやルカやヨハネの動員は、この、秘密を黙っていられずに岩に向かって囁いて虚構の気配を消す私小説の極致(すなわち、ロマネスク)の入念な補強である。

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