碧空3610 nautilus1953( 憑かれてはいないかのように騙す呼び声)
3610 nautilus1953( 憑かれてはいないかのように騙す呼び声)
3.11の瓦解の風景に曝されて誰もが口を揃えたのは、たあいのないおしゃべりや囁きを取り戻したい、どうということのない日々の反復や習慣を取り戻したい、といった呼び声である。一体、その呼び声は何処から来るのか。
それは、「私」が呼び声だからである。誰もが生首のように置き去りにされていて、憑かれてはいないかのように騙す呼び声が、崩壊しないかに見えた間はずっと潜んでいた呼び声が、底りの如く露出したのである。
つまり、水の如く低きについて「私」を再現する騙し絵が恋しかったのである。それは、深刻な瓦解を眼前にして沈黙することを上回る要請なのである。
それは、何も伝わっていないのに伝わるというように漂ううわさを、誰もが憑かれてはいないかのように囁く如くである。深刻な危機は、他の誰かの器官の延長になるまでに器官を延長して「私」が再現する時間の、その破断である。瓦解したのは、町を一体の生き物にする分業なのである。


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