Saturday, July 19, 2025

碧空3618 nautilus1961(ヒッペアストリウム・ヒブリドゥム、サロメの刺青)

3618 nautilus1961(ヒッペアストリウム・ヒブリドゥム、サロメの刺青)  日常は、世界の終わりを打ち消すまでにコピーする憧憬である。それは、メランコリーを晴らすように、6月を待って真っ赤なアマリリスが一鉢咲き誇るとか、屋根裏部屋で「刺青のサロメ」が起こるとか、こうした、まるで没交渉に見える事項が思いがけなく(従って深々と)隣接するというようなはしゃぎ振りである。  刺青のサロメとは、踊るサロメの裸体が纏ったレースの文様が、肌を這う刺青に見えるのである。半ば剥き出しになった巨大球根から太い茎を伸ばして豪華に咲いたアマリリスに向かって、ヒッペアストリウム・ヒブリドゥム。と呼ぶ声がするなら、ヒッペアストリウム・ヒブリドゥム。は流通しない。それは学名ではなく、このアマリリスが呼ぶ声(範疇の停止)である。  アマリリスは中南米原産、ヒガンバナ科、ジャガタラズイセン、朱頂蘭とも。こうした呼称から、日本に南蛮や支那から海を渡っていつ頃来たのかが分かる。サロメの半身に、Octopus がするする這い込んでいくように、人の顔のある文様が食い込んでいく。「女体に緋牡丹」あるいはもっと「貴婦人と一角獣」が起こっているのである。つまり、人の顔のある文様は人の顔のある文様ではなく、一角獣なのである。  こうして、刺青のサロメは刺青のサロメではなく、女体にヒッペアストリウム・ヒブリドゥムなのである。

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